200のハディース


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において




第八章: 裁決について

117 イブン・アッバースによると、アッラーの御使いは言われた。「訴訟が全て聞き入れら れるとなると、ある者たちは他人の財産や血まで訴訟にか けるようになるでしょう。訴訟を起こす者は明証を提示し なければならず、その訴えを否定する被告は誓言しなけれ ばなりません。」

    (アル=バイハキーによる伝承。一部は両サヒーフに収録されている)

※注1−他人の血とは、殺害された者に対する補償のこと。
※注2−ムスリムはアッラーに対して誓言をする。アッラ ーに対する誓言は大変神聖な行為であり、自分の主張が 絶対に正しいとの確認がない限り、アッラーに対する誓 言はできない。
118 アブー・バクラ・ヌファイウ・イブン・アル=ハーリスによると、 アッラーの御使い様が、「大罪のなかでも最も罪の大き いものについて教えてあげましょうか。」と三度言われた。 私たちが「お願いします、アッラーの御使い様。」と言う と、「アッラーに同等のものを配することと、両親に対す る反抗です。」と言われた。彼は片肘をついていたが座り 直すと、「嘘をつくことです。そして嘘を証言をすること ではありませんか。」と言われた。私たちが黙ってほしい と思うまで、彼はその言葉を繰り返された。
    (アル=ブハーリーとムスリムによる伝承)

119 アブー・ザッルによると、彼は、アッラーの御使い様が、「自分の物でもない物を 要求する者は我々の仲間ではありません。そのような者は 業火の中に己れの居場所を定めることになるでしょう。」 と言われるのを聞いた。
    (ムスリムによる伝承)

120 サムラによると、アッラーの御使いは言われた。「己れの所有する奴隷を 殺す者は死刑に処します。己れの奴隷の体の一部を切断す る者は切断刑に処します。」
    (アッ=ティルミズィーによる伝承)

※注1−犯罪に対し、イスラーム法では目には目を、命に は命をと規定している。これは司法であって、際限のな い復讐行為の是認ではない。
※注2−現今、人権擁護の立場から死刑廃止論が花盛りで あるが、死刑を廃止して犯罪者の生命を保証することに よって犯罪が凶悪化することを事前に防止し、人々の安 全を守るための最善の方法として、イスラームでは死刑 を認めている。ただし、最後の審判の日を信ずる者にと っては、その日のアッラーによる審判が最終絶対的であ って比類なく厳格であることを知っている故に、イスラ ーム世界における犯罪は稀で、仮にあったとしても現世 における刑罰は最小限に止められる。
121 ザイド・イブン・ハーリド・アル=ジュハニーによると、 預言者は言われた。「最も良い証人についてあなたがた に話しておきましょうか。最も良い証人とは、求められる 前に証言する者のことです。」
    (ムスリムによる伝承)

122 アブー・バクラによると、私は、アッラーの御使い様が、「裁判官は、怒っている ときには二人の間を裁決してはなりません。」と言われる のを聞きました。
    (アル=ブハーリーとムスリムによる伝承。引用はアル=ブハーリーの伝える表現による)

123 アリーによると、アッラーの御使い様は私に、「二人の男があなたの許に 裁決を求めてやってきたなら、他方の言い分を聞くまで一 方に裁決を下してはなりません。いずれいかなる裁決を下 すべきかが判るようになるでしょう。」と言われました。
    (アッ=ティルミズィーによる伝承)

※注−アリーはアッラーの御使いの没後二五年を経て、第 四代のカリフ(アッラーの御使いの後継者)として人々 を続治するようになる。アッラーの御使いはこのハディ ースにおいて、アリーが将来自分の後継者として人々に 裁決を下すときが来るであろうことを認知され、彼にそ のときのための忠告をしたのである。
124 ブライダによると、アッラーの御使いは言われた。「裁判官には三様の人物 がいます。一人は楽園に入り、二人は業火に入ります。真 実を知っていて、それに基づいて裁決を下した者は楽園に 入ります。真実を知っていながら裁決において不正を行っ た者は業火に入ります。真実を知らずに裁決を下した者も 業火に入ります。」
    (アブー・ダーウードによる伝承)

日本ムスリム情報事務所