200のハディース


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において




第十三章: さまざまなハディース

153 アブー・サイード・アル=フドリーによると、アッラーの御使いは言われた。「金曜日のグスルは全て の成人に課せられた義務です。」

    (アル=ブハーリーとムスリムによる伝承。引用はアル=ブハーリーの伝える表現による)

※注1−金曜日はイスラームの聖日である。
※注2−グスルとは全身を規定の手順に従って水を用いて 浄めること。浄めの方法にはウドゥーとグスルの二種類 がある。ウドゥーとは体の一定の部分を規定の手順にし たがって水を用いて浄めること。浄めは、睡眠、排世、 性交渉などによってその効力を失う。礼拝をしたり、ク ルアーンを読誦したりする際には浄めが効力を有してい なければならない。
※注3−サムラによると、 アッラーの御使いは言われた。「金曜日にウドゥーを する者はそれはそれでよいです。グスルをする者は、グ スルの方がよりよい。」とある。イスラームの最初期に おいては、金曜日の合同礼拝に際してのグスルは義務と されていたが、後に「強いスンナ(預言者の慣行)」に 変わった。ムスリムにとっては金曜日の合同礼拝に際し てはグスルをするのが賢明とされている。
154 アブー・フライラによると、アッラーの御使いは言われた。「自分よりも地位の低い 者に目をやりなさい。自分よりも地位の高い者を見てはい けません。あなた方に対するアッラーの恩恵を軽んじない ためには、そうすることが最も適当なことです。」
    (アル=ブハーリーとムスリムによる伝承。引用はムスリムの伝える表現による)

155 アナスによると、預言者は言われていた。「アッラーよ、心配、悲しみ、 弱さ、怠情、臆病、吝嗇、負債、人々からの迫害から私を お守りください。」
    (アル=ブハーリーとムスリムによる伝承。引用はアル=ブハーリーの伝える表現による)

156 アブー・フライラによると、預言者は言われた。「至高なるアッラーが仰せられまし た。『審判の日に、我が敵対する三人の者がいる。私に約 束をしておきながらそれを破る者、自由人を売ってその代 金を食い尽くす者、労働者を雇って、その労働者が充分な 成果を上げているのに彼に報酬を与えなかった者である。』 」
    (アル=ブハーリーとイブン・マージャとアフマドによる伝承。引用はアル=ブハーリーの伝える表現による)

157 アブー・フライラによると、アッラーの御使いは言われた。「奴隷を解放する者に対 し、アッラーは解放された奴隷の体の一部分につき、解放 した者の体の一部分を、性器に至るまで業火から解放し給 います。」
    (ムスリムによる伝承)

※注1−預言者ムハンマドの時代には奴隷制が広く浸透し ていた。イスラームは奴隷制の廃止、奴隷の解放を訴え、 この教えによって多くの奴隷や抑圧された人々がイスラ ームを受け入れたのである。
158 イブン・ウマルによると、預言者は幾度かの軍事遠征で女性の屍を目にされ、女性 と子供を殺すことを禁じられた。
    (アル=ブハーリーとムスリムによる伝承)

159 アーイシャによると、彼女が預言者に「ウフドの日よりも苛酷な日があなたに ありましたか。」と尋ねると、答えて言われた。「私はあ なたの部族の者の手によってそうしたものを経験しました。 彼らから受けた最も苛酷な出来事はアカバの日のことでし た。その日私は、イブン・アブド・ヤーリール・イブン・ アブド・クラールの許に行ったのですが、彼は私の望むこ とに対して返事をしてくれなかったのです。私は苦渋の色 を顔に浮かべたまま帰途につきました。そしてカルン・ア ッ=サアーリブに着く頃になってようやく安堵を覚え、頭 を上げると、なんと雲が私を覆い包んでいました。私が眺 めるとその雲の中にガブリエルがいて、彼は私に呼びかけ、 挨拶して『偉力並びなきアッラーは汝の民が汝にいった言 葉を聞き、また、汝にどのように答えたかも聞き給うた。 アッラーは汝が彼らに対して望んでいることを命じつける ようにと、山の天使をお送りになられた。』と言ったので す。それから、山の天使が私に呼びかけ、挨拶して、言い ました。『ムハンマドよ、アッラーは汝の民が汝に言った 言葉を聞き給うた。我は山の天使である。我が主は汝が我 に命令を下すようにと我を汝の許に道わされた。汝の望み は何か。汝が望めば、我は二つの高い岩山を彼らの上に被 せてやろう。』」預言者は答えて言われた。「いいえ。私 はアッラーが、彼らの子孫の中から、アッラーのみを崇拝 し、彼に何ものをも配することのない子供達を出してくだ さることを望みます。」
    (アル=ブハーリーとムスリムによる伝承)

※注1−ウフドの日とは、ウフドの戦いの日のことで、こ の戦いで預言者が指揮するイスラーム軍は敵に敗れた。 カルン・アッ=サアーリブとは、ターイフとマッカの間 に位置する地で、現在ではカルン・アル=マナーズィル、 あるいは単にカルンと呼ばれる。ターイフとイエメンの 人々がマッカ巡礼をする際に、身を清めて巡礼の意志表 示をする場所。マッカの南東約八十キロ。この出来事が あってからしばらくして、夜の旅と昇天の奇跡が起きた。
160 アブー・アル=アッバース・サハル・イブン・サアド・アッ=サーイディーによると、 ある男が預言者の許にやって来て「アッラーの御使い様、 もし私が実行すればアッラーが私を愛でられ、また人々も 私を愛してくれるような行いについてお教えください。」 と言うと、答えて言われた。「現世において禁欲的であり なさい。そうすればアッラーはあなたを愛で給うでしょう。 人々の所有する物を欲しがらないことです。そうすれば人 々はあなたを愛してくれるでしょう。」
    (イブン・マージャによる伝承)

※注−「禁欲的で」とは、世俗の雑事にとらわれないこと。 金品、財産、名声、指導者としての地位を得ようと心を 砕くことをせずに素朴な生活をするようにと説かれてい る。
161 アブドッラー・イブン・マスウードによると、アッラーの御使いはござの上に寝られ、起きると彼の体 にごぎの跡がついていた。そこで私たちが「アッラーの御 使い様、私たちがあなたのために絨毯を用意することがで きればよいのですが。」と言うと、彼は答えて言われた。 「そうした俗事が私にとって何だというのですか。私は現 世においては、木の下に陰を求めて休息し、またそこを発 つ一介の旅人のような存在に過ぎないのです。」
    (アッ=ティルミズィーによる伝承)

162 イブン・ウマルによると、アッラーの御使い様は私の肩に手を掛けて言われた。 「現世にあっては異邦人か旅人のようでいなさい。」
    (アル=ブハーリーによる伝承)

163 アブー・サイードとアブー・フライラによると、預言者は言われた。「ムスリムを襲う災い、病、心配、 悲しみ、苦悩は、針の一刺に至るまで、アッラーはそのこ とによって、必ずその者の過ちを赦し給います。」
    (アル=ブハーリーとムスリムによる伝承)

164 イブン・マスウードによると、私が預言者を訪ねた時、彼は熱を出しておられた。「ア ッラーの御使い様、激しい熱に襲われておられますね。」 と私が言うと、彼は、「そう、私はあなた方の二人の男が 熱を出しているかのような高熱を出しています。」と言わ れた。私が、「あなた様は二つの報酬を得ておられるとい うことなのでしょうか。」と尋ねると、彼は答えて言われ た。「そう。ムスリムが針、あるいはそれ以上のものによ って危害を受けたなら、アッラーはその見返りに、その者 の悪行を御赦しになられます。そして彼の罪は木が葉を落 とすように、その者から落ちてしまうのです。」
    (アル=ブハーリーによる伝承)

165 アブー・フライラによると、アッラーの御使いは言われた。「アッラーが誰かに良き ことを望まれると、その者に苦難を与えて試されます。」
    (アル=ブハーリーによる伝承)

166 アナスによると、アッラーの御使いは言われた。「アッラーが僕に良きこ とを望まれると、その者に対する懲罰を現世において済ま されます。また、アッラーが僕に悪しきことを望まれると、 その者の罪に対する懲罰を審判の日に執行するまで保留さ れます。」預言者はまた言われた。「大きな報酬は大きな 試練と共にあります。至高なるアッラーは、人を愛すれば こそ試されるのです。そして、その試練に満足する者はア ッラーの御満悦を得ます。また、その試練を不満とする者 は、アッラーの怒りを得ます。」
    (アッ=ティルミズィーによる伝承)

167 アブー・フライラによると、アッラーの御使いは言われた。「誰でも死を望んではな りません。善人は善行を増すかもしれず、悪人は悪行を改 める機会に出会うかもしれないのですから。」
    (アル=ブハーリーとムスリムによる伝承。引用はアル=ブハーリーの伝える表現による)

※注−ムスリムの伝承では次のようになっている。 アブー・フライラによると、 アッラーの御使いは言われた。「誰も死を望んではな りません。死が来る前に死を祈願してもなりません。死 んでしまえばその者の行為は中断されてしまいます。信 者が長生きすることは、唯々良いことなのです。」
168 アナスによると、アッラーの御使いは言われた。「三つのものが死者につ いて来ます。彼の家族と財産と行いと。このうち二っは去 ってしまいますが、一つは残ります。彼の家族と財産は去 ってしまいますが、行いは残ります。」
    (アル=ブハーリーとムスリムによる伝承。引用はムスリムの伝える表現による)

※注−人の葬儀には、その者の家族と財産と行いがついて 来るが、葬儀が終われば、その者からは離れて行ってし まう。しかし生前に為した彼の行いは彼とともに留まり、 審判の日に、彼にとって有利にも不利にも働くのである。
169 アーイシャによると、アッラーの御使いは言われた。「発熱は地獄の熱風によ るのです。だから熱が出たら水で冷ましなさい。」
    (アル=ブハーリーとムスリムによる伝承。引用はアル=ブハーリーの伝える表現による)

170 アブー・カリーマ・アル=ミクダーム・イブン・マアディーカリブによると、 私はアッラーの御使い様が、「人にとって最もいけない ことは満腹になることです。背筋を真っすぐに保つには少 量の食べ物で十分です。それが無理なら、三分の一を食べ 物のため、三分の一を飲み物のため、そして三分の一を呼 吸のために空けておきなさい。」と言われるのを聞いた。
    (アッ=ティルミズィーによる伝承)

171 アブー・フライラによると、アッラーの御使いは言われた。「強い信者と弱い信者と では、双方ともに良い点があるとしても、強い信者の方が より良く、偉力並びなきアッラーも強い信者をより愛で給 います。双方とも良いものですが。自分のためになること を追求しなさい。アッラーにお助けを乞い願いなさい。闘 いにおいて逃げ腰になってはいけません。何か災難に会っ ても、『もしあの時ああしていれば云々。』と言ってはな りません。『アッラーが予定しておられたのです。アッラ ーが望まれておられたことをなされたのです。』と言いな さい。『もし』という言葉は悪魔の仕事を開始させるので す。」
    (ムスリムによる伝承)

※注−強い信者とは、心身ともに健全な信者のこと。闘い とは、軍事的衝突のほか、日常におけるあらゆる努力を 意味する。
172 アン=ヌアマーン・イブン・バシールによると、アッラーの御使いは言われた。「許されたことは明らか であり、禁じられたことも明らかですが、二つの間には人 々の多くが知りえない疑わしい事柄があります。疑わしい ことを避ける者には信仰と名誉が守られますが、疑わしい ことに手を出す者は禁じられた行為を犯します。」
    (アル=ブハーリーとムスリムによる伝承)

173 サハル・イブン・サアド・アッ=サーイディーによると、 アッラーの御使いは言われた。「現世がアッラーの御許 で蚊の羽ほどでも価値があるというのなら、不信仰者に一 満の水すら飲ませ給わないでしょう。」
    (アッ=ティルミズィーによる伝承)

174 アブー・フライラによると、アッラーの御使いは言われた。「現世は信者の牢獄、不 信者の楽園です。」
    (ムスリムによる伝承)

175 アブー・バルザ・ナドラ・イブン・ウバイド・アル=アスラミーによると、 アッラーの御使いは言われた。「人は(審判の日)ずっ と立ち続けたあとで、人生について、それをどのように過 ごしたか、また知識について、それをどのように用いたか、 また財産について、それををどのように入手してどのよう に費やしたか、また体について、それをどのように使った かを問われます。」
    (アッ=ティルミズィーによる伝承)

※注−人々の生前の行いは逐一アッラーの御許に記録され ている。これらの問いは、人々が自分の為した過ちに気 づくためになされる。
176 アーイシャによると、預言者は両足を痛めるまで夜中に立って(礼拝をして) おられた。それで私が「どうしてこのようなことをなさる のですか、アッラーの御使い様。アッラーはあなたの過去 の、また今後の罪をお赦しになられたのでしょうに。」と 尋ねると、答えていわれた。「それだからこそ、私は感謝 する僕にほかならないのです。」
    (アル=ブハーリーとムスリムによる伝承。引用はアル=ブハーリーの伝える表現による)

177 イブン・ウマルによると、アッラーの御使いは言われた。「人を殺さない限り、ム スリムはその信仰による安らぎのうちに留まっています。」
    (アル=ブハーリーによる伝承)

178 サフィーヤが何人かの預言者の妻たちから伝え聞いたところによると、 予言者は言われた。「占い師の許に行って何かについて 占ってもらった者は、四十夜の礼拝も受け入れられません。 」
    (ムスリムによる伝承)

※注−未来を予知できるのはアッラーのみである。占い師 にものを占ってもらうことが罪であるのはそのためであ る。

日本ムスリム情報事務所