200のハディース |
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において
アッラーの御使いに最初に下った啓示は、眠りの中での 正夢でした。彼は、いつも曙光の如くに啓示をまのあたり にしていたのです。それからは、彼は一人でいることを好 み、ヒラーの洞窟に籠っては罪を避けてアッラーを崇拝し、 幾夜もそのように過しては家族の詐に戻り、食糧を備えて、 また徳りを続け、時にハディージャの許に戻っては、また 籠りを続けるようになりました。そしてついに、彼がヒラ ーの洞窟にいた時に、真理が彼の許に達し、天使が彼の許 に下ってきて、「読め。」と言ったのです。彼は、「私は 読めないのです。」と言い、さらにこう言いました。「彼 は私を圏?まえ、息ができなくなる程に私を覆ってから私を 放して、また『読め。』と言ったのです。私が『読めない のです。』というと、彼はまた私を圏?まえ、息ができなく なる程に私を覆ってから私を放して、また『読め。』と言 ったのです。私が『読めないのです。』というと、彼は三 度私を圏?まえて覆い、それから私を放して言ったのです一 「読め、創造されし汝の主の御名に依りて。彼は、人を凝 血より作り給うた。読め、汝の主はいと尊大なる御方。』」 一アッラーの御使いは心臓を震わせて、その御言を携えて 山を下り、ハディージャ・ビント・フワイリドの許に飛び 込んで、「私を包んでくれ。包んでくれ。」と言われたの で、彼から怯えが去るまで、彼を包んであげました。それ から彼がハディージャに出来事を伝え、「怖かった。」と 言うと、ハディージャは言ったのです―「いいえ、アッラ ーに誓って、彼は決してあなたを辱めたりはなされません。 あなたは善行をしているではありませんか。家族に良くし ているではありませんか。貧者に施しをしているではあり ませんか。客をもてなしているではありませんか。不幸に 見舞われた人を助けているではありませんか。」
二、ハムザの人信
ある日、ムハンマドがサファーにいた時、アブー・ジャ
ハルが彼の許に来て罵倒したが、彼は何も言わなかった。
ムハンマドの叔父ハムザは勇猛で知られ、当時は狩りに出
かけていたが、戻ってきてこの出来事を知ると、怒ってカ
アバ神殿に駆けて行き、アブー・ジャハルをみつけると、
持っていた弓で彼を殴りつけて言った。「私が彼の教えに
従っていることを承知で彼を罵倒したのか。」アブー・ジ
ャハルは言葉を失ってしまった。ハムザの人信によって、
クライシュ族は、ムハンマドが強大な力を得た事を知った
のである。
三、ウマルの入信
ウマルは当時二七歳の若者であった。彼は祖先の信仰に
背くムハンマドを殺害しようと、剣を持ってムハンマドの
許に向ったが、その途中で、自分の妹とその夫がイスラー
ムに入信した事を聞き、二人の詐に駆けつけ、妹をいきな
り殴りつけた。それからウマルと二人の間でしばらく問答
が続いたが、次第にウマルは自分がしたことを後悔し、二
人が手にしていたものについて尋ねると、二人は、「これ
は聖なるクルアーンです。身を清めた者以外これに触れる
ことはできません。」と答えた。ウマルは体を清め、聖句
の記された紙を手に取って読んだ時、既にイスラームが彼
の心を捕えていたのである一『ター・ハー。われが汝にク
ルアーンを下したのは、汝を悩ます為ではない。主を畏れ
るものへの訓戒に他ならない。それは大地と高い諸天を創
造されし方より下された。慈悲深き御方は玉座に鎮座なさ
れる。天と地と、その両者の間にあるもの、そして湿った
土の下にあるものは全て彼のもの。汝が声を出して語ろう
と否と、彼は秘め事も隠し事も知っておられる。アッラー、
彼以外に神はいない。彼は麗しき諸名辞を持っておられる。
』ウマルはムハンマドの許に駆けていった。ウマルを認め
たハムザが言った。「この者はウマルです。アッラーが彼
に良き事を望まれれば、彼はイスラームに入信するでしょ
う。そうでなければ、彼は我々を簡単に殺すことでしょう。
」ムハンマドはウマルに歩み寄り、ウマルはイスラームに
入信した。その場に居合せた者達は高らかにアッラーを讃
え、その声はカアバを揺るがす程であった。人信の後、ウ
マルは言った一「我々は真理の上に立っているのではない
のか。何故に信仰をひた隠しにするのか。」信者達はウマ
ルとハムザの先導でカアバ神殿に向かった。彼らを目にし
たとき、クライシュ族の者達は深く悲しんだ。ハムザとウ
マルの入信は共に、ムハンマドの召命から六年目のことで
あった。ムハンマドは常々祈っていたのである―「アッラ
ーよ、ウマルとアブー・ジャハルのいずれか、あなたの好
まれる方で、イスラームを強めてください。」
四、悲しみの年
ムハンマドがアッラーの啓示を受け、御使いとして、ま
た預言者として立つようになってから十年目、彼の有力な
援助者であった叔父のアブー・ターリブと妻のハディージ
ャが相次いで世を去った。この結果、イスラームの信者達
に対するクライシュ族の迫害は激しさを増し、多くの信者
が命の危険に晒されるに及んで、ムハンマドは、マッカの
民に対するこれ以上の布教は無意味であると悟り、マッカ
に隣接する諸部族への布教の道を求めてターイフに赴いた
が、マッカでの迫害以上の迫害を受けてマッカに戻った。
同時に彼は定期的にマッカを訪れる巡礼団にイスラームを
説いていった。
五、第一次アカバ誓約
召命から十二年目、ムハンマドはアカバにおいて、ヤス
リブから巡礼に訪れた十二人の男性と会い、彼らはイスラ
ームに入信した後、何ものをもアッラーと同等に配さない
こと、アッラーの命令に従うこと、アッラーが禁ずること
をしないこと、の三点を誓った。ムハンマドは、彼らにイ
スラームを教え、クルアーンを教え、彼らを礼拝に導くた
めにムスアブ・イブン・ウマイルを彼らに同行させてヤス
リブに送った。
六、第二次アカバ誓約
翌年、ムスアブ・イブン・ウマイルはイスラームに入信
したアウス族とハズラジュ族の七三人の男性と二人の女性
を引き連れてマッカにやって来た。ムハンマドはアカバで
彼らと会い、ヤスリブをムハンマドの故郷とすること、ヤ
スリブの民とマッカからやってくる民の間を平等に取り持
つ事の二点で誓約を交わした。この誓約の後、ムハンマド
は、「私はあなた方の仲間である。あなた方は私の仲間で
ある。私は、あなた方が戦う相手に対して戦おう。あなた
方が和平を結ぶ相手に対して和平を結ぼう。」と宣言して
からマッカに戻り信者達にヤスリブヘの移住を命じた。信
者達は個人個人で、あるいはある程度の集団となって、秘
密裡にヤスリブヘと移住を始めた。ムハンマドは、アブー
・バクルの他ごく僅かな信者と共にマッカに留まり、アッ
ラーの移住命令を待ったのである。
七、集会所の策略
イスラームの信者達がヤスリブヘの移住を始めているこ
とを知ったマッカの多信教徒達は、ムハンマドがマッカか
ら出るのを恐れ、集会所に集まってムハンマド殺害につい
て協議した。そして、全ての部族から一人ずつの猛者を選
んでムノトンマドの館の前で待ち伏せし、彼が表に出てきた
ら一人が一回ずつ彼を刺す。そうすれば、ムハンマドが属
するハーシム支族は全ての部族を相手に復讐戦を仕掛ける
事は不可能であるから、我々は血の代償としてある程度の
額を平等に分担すれば済む、というように意見が纏まった
が、天使ガブリエルがムハンマドに彼らの策略を伝えたた
め、その夜ムハンマドはアリーに、自分の寝所で寝るよう
に命じ、次いでアブー・バクルの館に赴いて、アッラーが
移住を命じていることを伝え、自分の館に戻って、夜が明
けて彼が表に出て来るのを待ち構えていた多神教徒の若者
達の頭上に、クルアーンを唱えながら、手にとった砂を振
り掛けた―『ヤー・スィーン。英知に満ちたクルアーンに
よって誓う。実に汝は使徒の一人。正しい道に人々を導く
使徒の一人である。強力にして慈悲深き御方の啓示は、祖
先が受けたにも拘らず心に留めなかった事柄を彼らの子孫
である民に警告する為のものである。本当に御言が彼らの
多くの者に下っているのに、彼らは信じない。我は彼らの
首に枷をはめ、その枷は顎にまで及ぶ。そうして彼らの顔
は天を仰ぐようになる。また我は彼らの前に障壁を、後に
も障壁を設け、彼らに覆いを被せた。だから彼らは見るこ
ともできない。』―彼らは、気が付いた時には、頭の上に
砂が掛けられているだけだった。ムハンマドはアブー・バ
クルの館に行って、彼と共にサウルの洞窟に三日間身を隠
した後にマッカを脱出した。多神教徒の若者達が気が付い
てムハンマドの寝所に入って行った時、彼らはそこにアリ
ーの姿を見るだけだった。朝になってムハンマドの脱出を
知ったクライシュ族の者達は、生死に拘らずムハンマドと
アブー・バクルの首に懸賞をかけて二人を探したが、つい
に二人を見出すことはできなかった。
八、ヤスリブ到着
ムハンマドとアブー・バクルはサウルの洞窟を出てから北
へ北へと歩みを続け、召命から十三年目の三月十二日月曜
日、ヤスリブの南端クッバーの地に到着した。歓喜をもっ
て迎えられたムハンマドはその地に四日間滞在し、イスラ
ーム最初のモスクであるクッバー・モスクの礎を据えた。
金曜日になると、ムハンマドは信者達と共にヤスリブの中
心地に進み、現在預言者のモスクが立つ地で金曜日の合同
礼拝を挙行した。ムハンマドは預言者のモスクが建つまで
の七ケ月間、アブー・アイユーブ・アル=アンサーリーの
許で過ごした。
| 日本ムスリム情報事務所 |